王覇列伝


王覇あざなは儒仲、太原廣武の人である。
わかくして清節が有った。
王莽が位を簒奪すると、冠帯を棄て、宦と交わりを絶った。
建武年間、徴されて尚書に至り、名を名乗ったが臣とは言わなかった。
有司が理由を問うと、王覇は言った。
「天子でも臣に出来ぬ者がおり、諸侯でも友とできない者がおります」
司徒の侯霸は王覇に位を譲ろうとした。
閻陽はこれをそしって言った。
「太原では俗物がむれており、儒仲にはその風が頗るございます」
このためにこのことは沙汰止みとなった。
病を理由に帰郷した。
隠居して志を守り、茅葺屋根に蓬の戸であった。
何度も徴されたが応じることは無く、長寿にして生涯を終えた。