孫甫(そん ほ) 咸平元年(998)〜嘉祐ニ年(1057) 字・之翰 許州は陽翟の人 天聖八年の進士 唐史記七十五巻を著す 孫甫はかつてある人から、ひとつ三十千もする硯を贈られた。 孫甫は言った。 「この硯はどうしてそんなに高価なんだい」 「硯は潤湿な石を使った者が良い物なのです。この硯に息を吹きかければ水が流れます」 「一日息を吹きつけて、一檐の水を得てもわずかに三銭だ。これを買っても使いようがないよ」 そう言って結局受け取らなかった。