衛の霊公は癰疽(雍疸)、彌子瑕を側近として寵愛した。
二人の君主の権勢をたの左右を覆っていた。
復塗偵は君主に言った。
「昨晩、私は君の夢を見ました」
「どんな夢かね」
「夢で灶君を見ました」
衛君は忿然として色をなして言った。
「私こう聞いている。夢で人君を見る者は日を夢を見ると。今あなたは夢で灶君を見たと言うが、さっきは君と言った。どういうことか説明できるなら良いが出来ないのであれば死んでもらう」
「日は天下をあまねくてらすもので、一つの物で覆うことは出来ません。しかしながら灶はそうではありません。前の人が燃る者がいれば、後ろの人は見ることが出来ません。今、私は人君の前で燃る者がいるのではないかと思われます。そのため夢に灶君を見たのでしょう」
「なるほど」
ここにおいて癰疽、彌子瑕を遠ざけ、司空狗をとりたてた。