奉陽君は蘇秦とどうしても蘇秦と親交をもとうとしなかった。
そのため、李兌は蘇秦のために奉陽君に言った。
「燕と齊が離れれば、趙が重要になり、齊王と燕が合従すれば趙は軽くなります。今貴方が燕を齊と近づけさせようとするのは、趙の利ではありません。私はひそかに貴方のためにやめるべきだと思います」
奉陽君は言った。
「どうして私が燕と齊を合従させようとしているのか」
「そもそも燕を制しているのは蘇子です。しかしながら燕は弱国です。東は齊に及ばず、西は趙にかないません。どうして東の齊を無視し、西の趙を無視することが出来ましょうか。そうであるのに貴方は蘇秦と仲がよろしくありません。蘇秦は弱国である燕を抱いて、天下で孤立するわけにはまいりません。これは燕を駆り立てて齊と合従させるのと同じです。且つ燕は亡国の子孫の国です。権謀術数で立ち、外国を重んじ、尊貴の国につかえます。ですから貴方のために計れば、蘇秦が善ければ親交を結び、善くなくても親交を結び、燕、齊を疑わせるのです。燕と齊が疑えば趙は重きをなします。齊王が蘇秦を疑えば、貴方に贈り物が多く来るでしょう」
「よろしい」
そして使いを送り蘇秦と親交を結んだ。