夙慧篇


賓客が陳太丘(陳寔)のもとを訪れ泊まった。
陳寔は元方(陳紀)、季方(陳ェ)に飯を炊かせた。
客は陳寔と議論した。
二人は火を燃やしたまま、ともに放ったらかしにして密かに(陳寔と客の議論を)聴き、飯を炊くのを忘れ飯は釜の中に落ちてしまった。
陳寔は問うた。
「飯を炊いてどうして蒸かしてないのだ」
陳紀と陳ェは長跪して言った。
「父上は客と語っておりました。なのでともにひそかに聴いて、簀を忘れてしまい、飯は今粥となってしまいました」
陳寔は言った。
「お前たちはさっきの話を理解できたのか」
「髣髴とおぼえております」
二人の子はともに説き、たがいに言い、少しの違いもなかった。
陳寔は言った。
「このようであれば粥でも良い。いや必ずしも飯である必要もない」


何晏は七歳で、聡明なさまは神のようであった。
魏武(曹操)は奇として何晏を愛し、何晏が宮廷内にいるので養子にしようとした。
何晏は地面に方形を書いてその中に身を置いた。
人がその理由を聞くと、答えて言った。
「何氏の廬だよ」
曹操はこのことを知って、帰らせた。